Hiroko Murayama

私の裁縫箱 【お裁縫箱の中ににあるもの、それは誰かのために、手を動かした時間でした】



【お裁縫箱の中ににあるもの、それは誰かのために、手を動かした時間でした】

祖母の足踏みミシンを撮影したことがきっかけで、

私は、いろいろな方のお裁縫箱を撮りためています。

母方の祖母が亡くなり3年ほど経って、住んでいた自宅を取り壊すと聞き、

私はカメラを持って豊橋にある懐しい祖母の家に行きました。

祖母がひとりで住んでいた、

子供の頃、何度も遊びに行った懐しい家。

中に入ると、何もかもがそのまま。

誰もいないしーんとした部屋を見渡すと、
よく陽の当たる窓際に祖母の使っていた足踏みミシンは置かれていました。

ミシンはさっきまで祖母が使っていたよう。

ハンドルにそっと触ると、
祖母の手の温もりが伝わってくるような気がしました。

家は、取り壊されてなくなってしまったけれど、

祖母の温もりは私の心と写真の中で生き続けていて、
その写真は、私にとって何にも代えがたい大切なものです。




祖母のミシンや針山を撮ることで、チクチクと縫うことの大切さ、温かさを私は実感しました。

縫う人の想いは、その道具にも染み込んでいくのでしょう。

いろいろな方にお裁縫箱を見せてもらって、

撮りためてひとつの作品にしたら、どんなに素敵だろう。

幾人かのお裁縫箱を見せてもらって写真に撮り、blogで紹介したところ、

見てくださった編集者の方から「お裁縫箱を主題にした本を作りたい」というお話を頂きました。

タイトルは「私の裁縫箱」


あの人はどんなお裁縫箱を使っているのでしょう。

中に詰まっている道具や布地には、どんな物語が宿っているのでしょう。
また新しいお裁縫箱との出会いがあると聞き、
嬉しい気持ちで撮影を担当させて頂くことになりました。

文章は、「暮らしのおへそ」でもご活躍の一田憲子さん。

企画の段階から丁寧に関わっていただき、
写真にそっと寄り添うような、とても素敵な文章を書いてくださいました。

新しく写真を撮らせてもらったのは、7名の方。

それぞれお仕事は違って、お裁縫への関わり方も様々ですが、共通していたのは、
手を動かして作ることが皆さん心からお好きなこと。
そして、すっと背筋が伸びている雰囲気。

加えて、私の撮りためていた7名のおばあちゃんのお裁縫箱が本の中に登場します。








10月18日 マイナビブックスより発売です。
ぜひ、お手にとってご覧になっていただけると嬉しいです。

祖母の足踏みミシンを撮影して、感じた気持ちをちょっとずつ膨らませたことで、

こんな素敵な本ができあがって、心から嬉しく思っています。

この本の出版に関わってくださったすべての方に感謝を込めて。

この本を読んでくださった方が、「何かつくってみよう」と
お裁縫箱をひらいて、新しい物語を紡いでくれますように。





【書籍情報】
私の裁縫箱 ~小さな箱からはじまる手作りの物語~ 

出版社: マイナビ出版
ISBN: 4839952582
https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=28640